フミさん

フミさんの思い出

投稿日:2017年7月29日

ずっと同じ仕事をしてきて、毎日、仕事に追われている。

タイでも日本と同じように、生きるために働いている。だけど、朝からのラッシュアワーも味わう必要もなく、上司に対するストレスもない。

今まで24年、タイで生きてきて、一番、楽しい時期っていつだったのかな?

そう思い起こしてみると、こっちに来ると決めて来たころ。そのときの、ひとときが印象に残っている。

飛行機の中で、隣同士で知り合った、広島出身のタカさんと、とりあえず、別に行くところはないからと、彼の親族だという日本人のフミさんのところに行った。

アジアホテルの脇から入ったペッブリー通りのソイの中のアパートだった。そのころの家賃でいうと、2~3千バーツだったと思う。下町のような雰囲気。窓は開けっぱなし、部屋の入り口のドアも開けっ放し。部屋の中では、窓のあるバルコニーというか、そういうところで、プロパンガスを置いて、食事を作っていて、でかい中華鍋をゆするカタカタという音がしていた。

どこからともなく、タイ人がやって来て、そのタイ人にお金を渡して、ビールを買ってきてもらい、我々3人で乾杯した。フミさんの奥さん、カンチャナーさんがごはんを作り、飲んでいると、まわりのタイ人が2~3人やって来て、同じように地べたに座ってビールを飲んだ。

作ってくれたのは、ヤムムーヨーとかだったと思うが、かなりおいしかった。

それがお開きになり、また次の日も同じようにフミさんのアパートで酒を飲んだ。

フミさんからすると、家で飲むのが一番節約だったから、そういう飲み方をしたんだと思う。いつもそうしているんだろう。

夕方に、風通しのよいアパートで、まわりのタイ人も巻き込んで、さらにメシを作ってくれて、地べたに座って、酒を飲んだというのは、その時ぐらいしかなかったと思う。

そういう意味では、最初で最後のかけがえのないひとときだったのかも知れない。

何が印象に残っているのか?

今じゃ、そんな庶民のアパートには行かないし、そこで酒を飲むこともない。ガスを持ち込んで、部屋で食事を作る風景もない。普通のタイ人が普通に暮らす中に入って酒を飲んだ唯一のひとときだったかも知れない。

なかなかその時のことが懐かしく、また、ああいう風に、安アパートに地べたに座ってサケが飲める機会があるのかなあ、と思っている。吹いている風は心地よく、日本でのストレスやプレッシャーから開放され、なるがままに、流れるままに、身もまかせる。そういう雰囲気だったんだなあ。

そういう場を作ってくれたフミさんは、その後、3~4年たってチェンマイに移り住んだんだと思う。

それから一度だけチェンマイで会ったかな。ここ15年以上は音信不通になった。たぶん、今でもチェンマイかその近郊の県で過ごしているんだと思う。

タイに来た当時、楽しい酒を酌み交わしたフミさんにまた会える機会があればな、と思っている。

-フミさん
-

Copyright© タイで、バンコクで、真夏日で , 2024 AllRights Reserved.